元々先生になろうということは考えていたんですか?

 元々、考えてはいました。意識し始めたのは修士の二年の時ですね。

私は駒澤の近藤ゼミだったので、ゼミ合宿が春と夏に年に二回行われるんですけど、その時は大体毎年仕事のお休みを大体とって、ゼミ合宿に参加させてもらってたんです。先生と色々お話もしたいし、情報交換もしたいので。

修士二年の時の夏合宿だったと思うんですけど、私は大体先生の車に一緒に乗っかって合宿所まで行くんですが、その車内で、あと10年くらいした頃に、画像コースの教員でもし空きが出来たら、できれば私に入ってきてほしいと、一緒に仕事ができたら良いなと近藤先生にその時言ってもらえたんですね。

私は大学の先生なんて、私なんかじゃなれないよ!とその時は思ったんですよ。大学の教育のレベルって、中学、高校までと比べて専門性も上がるし、自分にそれだけの知識があるかなって考えると、ちょっと無理なんじゃないかなとその時は言っていたんです。

でも私、元々医療系の道に入る前から教育分野にも興味があったんです。教育か保育系ですね。どっちの道に進むか、ちょっと迷っていた時期が中学生の頃にあって。

そういうこともあって学部生の頃から近藤先生とどう指導をしたらゼミの子たちは伸びるんだろうというのを、ある種教員の様な立場から先生と良くお話させていただくことがあって、そういう目線があるっていうのを先生は評価してくださっていたんだと思います。それでそんなことを仰ってくださったんだと思うんですけど。

だから、もし将来教員なれたら良いなあっていうのは、その頃にぼんやりと意識し始めましたね。でもまさかこんなに早く、本当になるとは思わなかったですけど。

 

丁度研究室が分かれた時期だったんですよね?

私が学部生としてゼミに所属した頃は丁度過渡期だったんですよね。

それまでは、画像コース全体が勉強会を一緒にやっていたけど、それぞれの先生方の考え方の違いだとか、絶対的に人数が多すぎるのもあって、勉強会とかのディスカッションがあんまり上手くいかないから個々でやりましょうかっていう話になったんです。

そういうのが初めて行われた時期だったから、近藤先生もどうしようかなって悩んでいたでしょうし、それで私がやんや言ってたら結構それを採用してくれたんですけど(笑)、先生が良かったと思ってくださったのならば、私も良かったです。

 

吉本先生が駒澤大学で実習に行く3年生にポジショニングなど教えてくれたりしていましたよね?

あれは大学院に入った時、学生さんに必要かなと、ふと思ったんですよね。大学院に入っ

て良かったところは、日中は現場で仕事をして臨床の目線を持ちながらも、大学院生としてアカデミックな目線、両方を持てるところが、良いなと思ったんですよ。

大学のうちだと、現場に出てないから臨床の目線って中々分かりづらいじゃないですか。患者さんがこういう時に困っているだとか、患者さんにとってもっとこういう方が良い検査になるんじゃないかとか、画像とか写真を撮る上でこういう所に困っているだとか、こういう画が撮りたいんだけども、どうすれば良いか分からないだとか。こういう臨床の目線って、本当に現場に立ってみないと分からないことが多いですけど、それを持ち帰って、じゃあどうした良いのかを考える、研究する環境が大学院にはあるわけですよ。

一方で、現場に立たずして大学院に進学すると、良い研究をしたとしても、臨床の目線が足りないからそれが臨床にどう反映されるか実感しないままに研究活動が進んでしまうから、それはあんまりよくない事なんじゃないかなと思っていて。

臨床目線が持てたから、病院実習に行く前に、ポジショニングを実際にやってみて、患者さんの立場になったり、自分が患者さんを動かしてみたりする難しさや楽しさを体験をしてもらう機会を作った方が良いんじゃないかなと思ってあれを提案したんです。これは自分が大学院に行ったからこそ、気づけた発想なのかなと思います。

 

 

 

 

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