研究テーマを決めるポイントはありますか。自分がやりたいテーマと興味を引くテーマは必ずしもイコールではないと思うのですが、先生はどう決めていらっしゃいますか?

なるほど。曲作りと似ているね。曲作りと一緒で、自分がせっかく研究をやるのであれば、情熱を持って楽しくやりたいじゃないですか。楽しくやろうと思ったらやりたいことをやるのが一番だと思いますよ。ウケを狙ってやっても、面白いものは作れないし、面白い発想も出てこないと思います。そこに対する情熱とかも傾いてきちゃうと思いますし。だからまずは自分が、モダリティ単位でも、ざっくりまず何をやりたいのかを踏まえた上で、その中でどういうところに興味があるのかを掘り下げていくといいと思います。学部生のうちは一人で物凄い発想は出せないと思うんですよね。だからこれはもっとこうしたほうがいいんじゃないかとか、具体的にどういう研究にしたら成果が上がりそうか、は教員がちゃんとサポートするべき部分なんじゃないかなって私は思います。なので、サポートがちゃんとしてもらえる先生につくのもひとつ大切なことだと思います。

学部生のうちの研究っていうのは、そんなに成果を出さなくてもいいと思います。学部生のときは、はじめての研究活動になると思うので、研究ってどういう風にやるのか、どういう風に発表するのか、どういう風に論文にまとめるのかっていうプロセスを勉強する段階だと思います。だから学部生のうちに大それた研究発表をできなくても焦る必要はなくて、もしそれ以上に成果の出る研究をしたいと思うのであれば、大学院でやるのがいいと思います。

学会では、そのとき注目されている研究テーマがあると思うけど、何でそれが注目されているのか、っていうのは現場の目線ならではのところがあると思います。それは私のように大学院に進学して、日中は現場で働きながら夜や休みの日に大学院で研究してってすれば臨床の目線とアカデミックな目線と両方がもてるので。そういうところで研究をすれば、どうしてそれが今注目されるのかっていうのがポイントとしてわかってくると思うし、そしたら研究もより面白いものが出てくると思います。そういう段階に入ってからがっつりと研究をやるのでも遅くないと思います。

でも反応があるほうがいいっていうのは当然ですよね。自分がせっかくがんばって発表したのに「ふーん」ってされるのは寂しいよね。でも学部生のうちからそこまでの反響ある内容を狙う目線を備えるのは難しいと思うし、焦らなくていいんじゃないかなって思います。研究活動に関しては仕事しながら病院でもできるので、大学院いかなくても出来ますし。とにかく仕事を始めて、現場の目線が備わってからでも遅くはないのではないでしょうか。

 

 

 

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