求める実習生像はありますか。

「あります。求める実習生像は、『素直であって下さい』、ということ。あとはですね、『元気であって下さい』。あとは、『分からなくても食らいついてきて下さい』、『分からないことを恥ずかしがらないで下さい』ですね。

2年生の実技実験に一緒に参加させて頂いていますけど、そのときに、目をそらさないで下さいねって言っています。目をそらすって何かっていうと、分からなかったり、ちょっとこう…指されちゃうんじゃないかなっていう不安がよぎったりすると、目をそらしたくなっちゃう。でもそれってすごく寂しくて、教える方からすると、一緒にお話ししているときに目をそらされるっていうのは非常に寂しさを感じる。なので、最初から、『指しませんよ』、『この実習が終わったときに全部分かっていればいいことだから大丈夫ですよ。』というお話をします。その怖さとか、恐怖から逃げないことが大切かな、と思います。」

 

お休みはどれくらいとられるんですか。

「今はですね、基本的に週休2日ですね。ほかの技師さんたちも同じです。

でもそんなには休めないかもしれないですね。外部の仕事がたくさんあったりするからですね。

外部の仕事を持っている方々は、例えば認定のお仕事があったり、講演を依頼されてそこに行かなきゃいけなかったり、あとは自分の研究発表があったり、学会活動があったりしてね…。なので、大体見ていますと、平均して週休2日だけども、月4日ぐらいを何もないような状態で休んでいる人が多いかな、と思います。」

 

診療放射線技師の理想と現実に相違はありますか。

「現実と理想っていう回答にはならないかなって思うんだけど、やらなきゃやらないで『やらないまま』の診療放射線技師になれるんですよね。でもやればやっただけの診療放射線技師になれる。『そこに気付いてくれるかくれないか?』が大きいと思う。だからそれが理想と現実なのかもしれないんだけど…。

でもそれに気付かせてくれるものが何かあれば、だから皆さんみたいに志村先生にチャンスをもらって、こういう年老いた技師さんと話をしたりしてね、色々そういう経験をして『あぁそういうことがあるんだな』なんてことを理解したりなんかしてさ、そういうことを分かる、知る学生だったらいいけれど、そういうこともなにも一切関わらないようなね、人たちだったら、やらないで平々凡々と暮らす診療放射線技師さんも中にはいるんだろうなとは思いますね。

そういう人たちが本当に何かあったときに立ち向かえるかな、立ち向かえない診療放射線技師さんで終わっちゃうんじゃないかなっていうのはちょっと心配かな。だから常に立ち向かえる技師さんになってもらいたい。そこは理想と現実の違いかな。」

 

そういった面も学生に求めますか。

「学生には、実習では求めません。求めませんけど、できたら学校でそういうところまで経験してくると器の違いが大きくて、器が少し違うんじゃないかなっていう風に思いますね。

まぁ要は、受け入れられる、辛いことを受け入れられるとか、まるっきりその辺は辛くなっちゃうとかそこは大きく違うかな。学生さんは学生さんのそういう経験があると思うので、それを率先して辛い方を選んで対応してくるっていうのが大切かもしれないですね。

(皆さん)絶対苦しい方と楽な方があったら苦しい方選んでよ?絶対だよ。『やだぁ、何言っちゃってんのぉ、バカみたい』って思うかもしれないけど、いやそうじゃない。苦しい方を選んだ方が絶対いいから。毎回苦しい方を選んだ方がいい。たまには楽な方を選ぼうかなと思って選ぶでしょ?『あぁ、もっと苦しい方が良かったな』って思うから。」

 

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